No.92新着 五代目古今亭志ん生と二人の息子 昭和の名人と、馬生・志ん朝の道
五代目志ん生は何度も改名を重ね、戦後に名人となった。長男の十代目馬生は人情噺、次男の三代目志ん朝は華のある芸で、それぞれ別の道を築いた。
本文と出典
あらまし
五代目古今亭志ん生(本名・美濃部孝蔵)は、1890年(明治23年)6月5日に東京・神田に生まれ、1973年(昭和48年)9月21日に83歳で没した。戸籍上の誕生日は6月28日で、ウィキペディアの記事もこの食い違いに触れている。
天衣無縫で八方破れと評される芸風で、昭和の落語を代表する一人とされる。得意の演目には『火焔太鼓』『文七元結』が挙げられる。
息子は二人とも噺家になった。長男が十代目金原亭馬生、次男が三代目古今亭志ん朝である。三人は同じ「美濃部」の家の出ながら、芸の形はずいぶん違う。
主なできごと
・1890年 志ん生(孝蔵)、神田に生まれる
・1905年 三遊亭盛朝として噺家の世界に入る
・1928年 馬生(本名・清)が生まれる
・1938年 志ん朝(本名・強次)が生まれる
・1939年 三月、五代目古今亭志ん生を襲名する
・1945〜47年 満洲へ慰問に渡り、敗戦で帰れず、1947年に帰国する
・1956年 芸術祭賞(文部大臣賞)を『お直し』で受ける
・1961年 12月、高座で脳出血を起こし、半身に障害が残る
・1962年 志ん朝が真打に昇進し、三代目志ん朝を襲名する
・1964年 紫綬褒章(志ん生)
・1973年 志ん生が没する
・1982年 馬生が没する
・2001年 志ん朝が没する
くわしく 志ん生
改名の多さが知られる。ウィキペディアの表には19の名が並び、本文には改名16回とある。三遊亭、金原亭、柳家、古今亭と、一門や流派を渡り歩いた。師匠も一人ではなく、三遊亭円盛、二代目三遊亭小円朝、四代目志ん生、初代柳家三語楼などの名が挙がる。本人は生涯、四代目橘家円喬の弟子と称していたが、記事は自称と注記している。
1939年に五代目志ん生を継いだとき、すでに40代後半だった。1945年には満洲へ慰問に出て、敗戦後も現地で足止めされ、1947年1月に帰国した。帰国後初めて出た寄席は、同年7月の日本橋人形町末広とされる。
1957年から1963年にかけて、落語協会の会長を務めた。1961年に倒れてからは長い高座はこなせなくなり、最後の高座は1968年10月とされる。
くわしく 馬生と志ん朝
馬生は1928年1月5日生まれ。1943年に父に入門して今松を名乗り、1948年に志ん橋で真打、1949年10月に十代目金原亭馬生を襲名した。1969年に芸術選奨新人賞、1973年に芸術祭優秀賞を受けている。父から噺をあまり教わらなかったため、他の師匠に学び、自分で噺を練った。人情噺など、じっくり聴かせる噺に本領を発揮したと評される。1982年9月13日、食道がんのため54歳で没した。
志ん朝は1938年3月10日生まれ。1957年に父に入門し、1962年に入門から5年目の異例の早さで真打となった。1972年に芸術選奨新人賞、2001年に同賞の文部科学大臣賞を受けている。父の芸をなぞっても追いつけないと考え、八代目桂文楽の噺の組み立てを手本にしたと記される。2001年10月1日、肝臓がんで63歳で没した。
なぜ受けたのか
志ん生が戦後に脚光を浴びた背景には、ラジオ放送や録音の普及がある。高座の話しぶりが家の中で聞かれるようになったため、型にはまらない語り口が、かえって新鮮に受け止められたと考えられる。
その息子たちが同じ名人の血筋でありながら別の持ち味を持ったことは、「名人芸は継げるのか」という問いに、二通りの答えを出したともいえる。
評価の分かれる点
志ん生の師匠事典類は四代目志ん生ほかの名を挙げるが、本人は四代目円喬の弟子と称した。どれを「正式な師匠」とするかは、記事自体が自称と注記している。
志ん朝の評価談志が志ん朝を高く評価したと伝えられる一方、「東の志ん朝、西の枝雀」と並び称された。評価は高いが、どこが優れていたかは語る人によって異なる。
くらさんの考察
志ん生は教えを受けた師が多く、芸が一つの型に収まらなかったと考えられる。馬生が父から稽古をあまり受けなかったことと合わせると、「家の芸」を直接受け継ぐよりも、それぞれが別の先達から学んで形を作った家だったと読める。
ジージへの問いかけ
・志ん生の高座を、ラジオやテレビで聞いた覚えはありますか。
・志ん朝が同じ世代で人気だったころ、ジージは寄席や落語会に行かれましたか。
・親子で同じ道に進むと、似るでしょうか、それとも違う道を選ぶでしょうか。
確かめられなかった点
志ん生の没年月日と受賞歴はウィキペディアで確かめた。馬生と志ん朝の受賞や没年月日も同様で、別の事典での裏取りは、今回は十分にできていない。
出典
・ウィキペディア 古今亭志ん生(5代目) https://ja.wikipedia.org/wiki/古今亭志ん生_(5代目)
・ウィキペディア 金原亭馬生(10代目) https://ja.wikipedia.org/wiki/金原亭馬生_(10代目)
・ウィキペディア 古今亭志ん朝 https://ja.wikipedia.org/wiki/古今亭志ん朝
・文春オンライン 志ん生の帰国後の初高座に触れた記事 https://bunshun.jp/articles/-/3420
動画
・『落語研究会 古今亭志ん朝名演集』ダイジェスト(Sony Music (Japan))https://www.youtube.com/watch?v=QGZDa9u4fgY
関連動画
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